洋式大鎌 Scythe は本当に凄いのか? その2 メンテ編
洋式大鎌を持ち出す事の発端は自分でも少し意外です。
子供の頃の印象は本当だったのか知りたくなったのがきっかけです。
子供ながらに「便利」だと感じたけど、本当に便利だったのか?
再び実物を見て発見があり、意外さにびっくりしました。
ー 洋式大鎌は「素材としての切れ味」は足りない!ー
つまり炭素分が少ない。炭素が少ないのでは、刃こぼれは減るかもしれないけど、いい研ぎ味にならないではないか!ー
と思いますよね?
僕の最初の印象がそれです。
それがドッコイ。
色んなビデオが見せる通り冷鍛冶をやってみると、炭素分をもう少しと思う部分を圧締がカバーし、ちゃんと我々が知る「ゾクゾクする研ぎ味」というものになるのです!
それをしないと刃が柔らか過ぎるのです!
つまり、メンテを含めてこういう事に意識を促さないと、
知らない人の間では伝わって行きませんし、それほど凄いものとしても実感されない事があり得るという事です。
意図も軽々しく扱っている人々には当然メンテのノウハウ的なものがあります。
切れ味を犠牲にするなど刃物として失格だと思わせた程、材料に粘りを持たせてあり、薄い刃に対して何度曲げてもいいようにしてあるのです。
でも軟鉄とかじゃありませんし、ばね鉄みたいな弾力も持たせてあります。しかし弾力や固さの全てを炭素分と焼き入れによって持たせている訳ではなく、よく見ると、形ができた後に、冷ました状態で叩いてあります。
だからすべてが計算づくの「適度」なのです。
ー 洋式大鎌は一見ぞんざいに作られているように見えて、その中身は意外と奥深かった。ー
柔らかめの炭素鋼だと石にぶつけたりして曲がります。
日本の刃物なら刃こぼれしますが、
洋鎌は曲がる事で対応するので刃こぼれの度合いは薄物からは想像できない程強いです。
刃こぼれはしないと言いませんが、その薄さに対しては本当に少ないです。
しかし、そうやって曲げたり戻したりを繰り返していては金属が疲労骨折するのでは? 繰り返してクドイようですけど、相当そういう事を繰り返しても大丈夫な粘り強さにしてあります。
叩き直すハンマーとカナトコになるもの(何でも)は作業の必需品です。トントン叩けばすぐ元の形に戻るという考え方をモロ肯定的に受け入れている独特な戦術です。
刃を研ぐ発想しかない我々にとっては、刃先を叩く事による硬化など思いつかないので面白いです。
冷めたものを叩く発想は鉄刃物よりは、古代の青銅刃物に普及していた考え方だと思います。
金属で色々作っている人や技術系の人は、こういう話を面白いと思うと考えたので書きました。
日本刀も凄いですけど、洋式大鎌は別の用途にて長年の経験と工夫により磨き抜かれた道具である事が手に持ったその瞬間から解ります。安物でも解ります。
日本と共通しているのは研ぎや切れ味に求めるところです。
扱いが正しくないと能力を発揮しないのは、日本の刃物と同じです。